Omoidori(おもいどり)

認知症予防にも期待大!
昔の写真で広がる「回想法」の輪首都大学東京 教授山田拓実さん

昔の写真でシニア世代の脳が活性化

「回想法」という言葉をご存じですか。シニア世代に昔の写真などを見てもらうことで記憶を引き出し、脳の働きを活発にする心理療法です。1960年代にアメリカで誕生した回想法は認知症の予防やリハビリに有効とされ、日本でも介護施設などで取り入れられています。そのユニークな試みが東京都荒川区で進んでおり、Omoidoriが重要な役割を果たしているそうです。首都大学東京教授の山田拓実さん率いる推進グループの集まりを訪ね、お話を伺いました。

シニア世代に昔の写真などを見てもらう

高齢者が自分の存在意義を再確認できる

「高齢になると、周囲の話にうまく加われなくなるなど認知機能の衰えがみられます。ところがノスタルジーを喚起する昔の写真などを前にすると、高齢の方は当時の記憶をどんどん甦らせてたくさんのことを話されます。そして、会話の中心になることで高齢の方はご自身の存在意義を再確認し、満足感も得て精神が安定した状態になります。 これが認知症予防に直結するのです」
これまで介護予防の分野で荒川区の高齢者の健康増進に大きな成果を挙げてきた山田さんは、この回想法でも荒川区社会福祉協議会とタッグを組み、ボランティアグループを組織して回想法の実践を推進しています。ここで力を発揮するのがOmoidoriです。

回想法の実践を推進

シニア世代みずから写真をスキャン

「回想法では市販の写真集などを利用することが多いのですが、私たちは地域の高齢者が見たときにより身近に感じられるよう、区内のお宅から古いアルバムをお借りして写真をスキャンし、独自の写真資料を作成しています。Omoidoriは貴重な写真をアルバムからはがすことなく、きれいにスキャンできますから、本当に重宝しています」
この試みがさらにユニークなのは、写真資料作りを行うボランティアも、その多くが シニア世代ということです。つまり写真資料を作ること自体が、ご自身に対する回想法にもなっているのです。こうして回想法をシニア世代全体に広めていくことが山田さんの狙いです。

写真をスキャンし、独自の写真資料を作成

非スマホユーザーでもすいすいデジタル化

「米寿のときは座布団を何枚も重ねて座ったのよ」 「男性は帽子かぶってステッキ持って。うちの父親もそうでした」「この頃は月給3万円よね~」
スキャンしたい写真は“暮らし”“街並み”などのカテゴリー別に選び、ふせんを貼っていきます。皆さん、とても懐かしそう。選び終わったら次はスキャンです。普段スマホを使わないシニアの方でも、Omoidoriを片手に「これ、便利ねぇ」と言いながらすいすいスキャンしていきます。これらのデータはPCに取り込まれ、デイサービスなど区内各所で回想法を行う際にスライド上映する写真資料になります 。

普段スマホを使わないシニアの方でも、Omoidoriを片手にすいすいスキャン

家族で楽しむ回想法

古いアルバムを活用した回想法は、家庭でも簡単に取り組むことができます。
「自宅に眠っている古い写真を家族みんなで見るのは、おじいちゃんやおばあちゃんにとってもすごく喜ばしいこと。『若い頃のおばあちゃん、きれい!』と思えば、おばあちゃんへの対応もきっと変わりますよね」
親しい人たちとコミュニケートしながら回想法を行えば、会話もいっそうふくらむはず。Omoidoriでアルバムをデジタル化すれば、写真を拡大したり、タブレットやテレビ画面に映したりすることも簡単です。家族みんなで楽しめる回想法、ぜひ実践してみては。

古いアルバムを活用した回想法

さぁ、Omoidoriで想い出をもっと楽しもう。

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お話を伺った人

お話を伺った人
首都大学東京 教授
山田 拓実さん

首都大学東京 健康福祉学部教授。専門は理学療法学。高齢者介護予防、転倒予防、呼吸リハビリテーション、バイオメカニクス、整形外科徒手療法などの各分野における精力的な研究と実践で知られる。

足立区に1964年(昭和39年)まで存在した、火力発電所の巨大な煙突「お化け煙突」

ボランティアグループの
「想い撮り」

荒川区のお隣、足立区に1964年(昭和39年)まで存在した、火力発電所の巨大な煙突。見る角度によって3本にも4本にも見えることから「お化け煙突」と呼ばれていました 。